倫理を超えた人工的な心身の能力向上により、新たな格差が広がる
No:23-H
制作年:2023年
AIと科学技術の進化によって、人間は新たな身体を手に入れようと画策する。
高価格な身体のバージョンアップは、経済格差を浮き彫りにするだけでなく、倫理問題を浮上させる。
- はたして人間は、空を飛べるようになるのか?
- 人間は、脳みそを100%使える日がくるのか?
- あなたは、どう進化したい?
AIの進化に対抗する形で、人類は自身の進化を試みるようになる。
その手段としては、脳の潜在能力の引き出し、動物の能力の移植、機械の活用などがある。
一例として、身体能力や記憶力を高めるための脳刺激研究や、蜘蛛の巣の強度を利用した人工筋肉の開発が挙げられる。
動物の臓器や能力の移植、人工的な能力向上は、倫理的な観点から長らく難しいとされてきた。
しかし、命を救い、生活の質を向上させるという目的が、これらの技術を倫理的、宗教的な障壁を越えて前進させる原動力となった。これらの技術は新たな可能性をひらく一方で、高価格であるために全ての人が利用できるわけではなく、経済力の差が新たな問題として浮かび上がってきた。
倫理は、全ての人が公平に扱われ、平等に機会を得られるようにする原則を提供する。
医療倫理では、医療サービスは必要な人に対して公平に提供されるべきであり、金銭的な能力によってそのアクセスが制限されるべきではないとされている。
だが、倫理の変化により新たな技術へのアクセスが可能になった一方で、そのアクセスが金銭的な能力によって制限されるという新たな問題が生じた。
その結果、特定の技術や手段が一部の富裕層だけに利益をもたらし、社会的な不平等が増大する可能性が出てきたのである。
未来の人類がどちらを選ぶのか、テクノロジーによる進化か、あるいは技術に頼らない自然な進化か。
この問いは、これからの私たちの選択に大きな影響を与えることとなるだろう。